優等生の腹黒@学園ラブ物語 キアラとカシアス 魔法の恋の行方・シリーズ9
カシアス家の事情
「まったく、いつもアラゴン家は汚い手を使う」
オヤジはイライラして、たばこをふかした。
オヤジは昔、美男子であっただろうが、今はクダをまくただの酔っぱらいでしかすぎない。
「昔はカシアス家が一番の名門魔族で、アラゴンなどそのへんを
うろつくチンピラだったのだが」
オヤジは、壁にかかっている
タペストリーを、ステッキで指した。
そのタペストリーは、魔族領や
周辺地域が緻密に織り込まれ、
人目で勢力範囲がわかるものだ。
「フェアリー領はアラゴン家に
実質、支配されていると言って過言ではない。
アラゴンが、領主の娘と結婚したし、アラゴンの遠縁のサキュバスが、王家に嫁ぐという前代未聞の事をやってのけたしな」
オヤジは、納得がいかないというように、酒を一気にあおった。
「アラゴン家は商売がうまい。
経済を動かすものは、それなりに力を持ちますよ。父上」
カシアスは、冷静に分析した。
カシアス家は魔族の名門だ。
いや、だったという過去形だ。
「カシアス家は知力、謀略、インテリジェンスで魔族界に貢献していきた。
脳みそが筋肉で、体力で勝負するアラゴンとは、格が違うのだ」
オヤジはそう言って、
改めて怒りがこみあげてきたようで、ステッキで床を叩いた。