優等生の腹黒@学園ラブ物語 キアラとカシアス 魔法の恋の行方・シリーズ9
カシアスは、もうそろそろ、いいだろうと思って、父親の手から酒瓶を取り上げた。

「お前には期待をしているのだ。カシアス14世」

オヤジは、すがるような目で、
カシアスを見てから、
酒で真っ赤になっている鼻を、
びぃーーーっと、音を立ててかんだ。

この酔っぱらいオヤジのカシアス13世が、もっとしっかりしてほしいのだが・・
カシアスはため息をついた。

オヤジは、ソファーにぐったりと身を投げ出して、すでに眠り込んでいる。

その体に、ひざ掛けをかけてやりながら、カシアスは、壁のタペストリーを見上げた。

魔族領だけではない、アラゴンは、商売を武器にその勢力範囲を他国にまで広げている。

だが、昔の栄華を手に入れるのは、自分の役目ではないと、カシアスは考えていた。
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