優等生の腹黒@学園ラブ物語 キアラとカシアス 魔法の恋の行方・シリーズ9
カシアスは上着を脱いで、
手で触れてみたが、湿ってはいない。
そのまま、キアラに差し出した。

「湿ったのを脱いで、取りあえずこれを着ろよ」

キアラは力なく首を横に振った。
「大丈夫、このくらいは」

「体が冷えると、消耗する。
できるだけのことをしよう」

キアラはうなずいて、上着を受け取り、湿った自分のローブをなんとか脱いで着た。

「君の持っているナイフを貸してくれ」

カシアスがそう言うと、
キアラは、ローブの内ポケットから、
小型の折りたたみナイフを取り出して、カシアスに渡した。

カシアスはナイフを持って、立ち上がり周囲を見回した。
洞窟のところどころには、鳥が落としたのであろう、
かなりの数の枯れ枝が散らばっていた。

苔が乾燥している場所があり、岩場にくっついていた。

カシアスは急いで枯れ枝を集めて、
乾燥した苔をナイフでむしり取り、ドワーフの火で火をつけた。
< 53 / 81 >

この作品をシェア

pagetop