優等生の腹黒@学園ラブ物語 キアラとカシアス 魔法の恋の行方・シリーズ9
「その・・僕が届けに行ってもいいですか?」

「そうだね。うーーん、
でもアラゴンがどこにいるのか、わしらも知らんのだが」

あの宝珠印があるから、居場所がわかる。
しかし、時間がたてば、宝珠は劣化して溶けてなくなってしまう。

カシアスは優等生の仮面をつけて、ハクタ先生に向かって言った。

「うちの父に聞けば、わかると思います。
魔族ネットワークがあるから。
それに彼女が卒業できなくても、僕らにとってはクラスの一員だったし、
お見舞いの挨拶くらいはしておきたいのですが」

その優等生答弁に、
ハクタ先生は、純朴なドワーフの笑顔を見せた。

「そーーかぁ、君が、キアラの事を気にかけてくれているのは、良かったよ。
たいへんだったからな。

君の魔力と、キアラの魔力がぶつかり、
そこに雷の力も干渉して、強大な歪みが生じたのだが。
こんな事は初めてだ。
キアラの方が、ダメージが大きかったのだな」

魔力の消耗は、放電と同じで、
とてつもなく体力を奪う。

カシアスも一週間ほどは、
体がフラフラしていたのだ。

「キアラに会えなくても、アラゴンの誰かに渡せば大丈夫だからね」
ハクタ先生は、念を押した。

「わかりました。預かります」
カシアスは、教科書の入った袋を受け取り、先生にむけて、最上級の笑顔を見せた。
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