優等生の腹黒@学園ラブ物語 キアラとカシアス 魔法の恋の行方・シリーズ9
神殿の周辺は、果樹園と広大な畑が広がり、のどかな場所だ。

シオンは還俗して、アラゴン家のサキュバス、イリスと婚姻の儀をあげた。
その話は、スキャンダラスな出来事として、魔族界隈で有名だったらしい。

カシアスは赤ん坊だったから、
直接、聞いたわけではないが、
オヤジは酒を飲むと、その話を蒸し返す。

オヤジは悔しかったのだろう・・
イリスに対しても、少なからず好意を寄せていた、もしくは関係があったのではないか。
カシアスは、そう感じていた。

館を出発して、昼過ぎた頃、
カシアスは空中から、どこまでも続く畑を眺めながら、目印になる大きな岩と神殿の建物を探した。

その場所はすぐにわかった。

カシアスは、ポケットから小さな紙片を取り出して広げた。
ハクタ先生の魔法陣付きの委任状だ。

これがあれば、アラゴン家の結界はフリーパスなのだ。
神殿の玄関前に降り立ち、少し緊張気味に、扉をノックした。
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