優等生の腹黒@学園ラブ物語 キアラとカシアス 魔法の恋の行方・シリーズ9
「シオン様、あの、キアラはここにいるのですよね」

シオンは、別館の2階の窓を指した。
「ああ、だけどまだ、部屋からは出られないかな。ようやく、歩けるくらいだから」

「そうなのですか」
カシアスも2階の窓を見た。
キアラは、後からダメージが大きく来たのだろう。

「きっとキアラは、この薔薇を喜ぶと思うよ」

シオンは、畑のそばの東屋に、カシアスを誘った。

「今回のことでは、君がいてくれて助かったよ。
アラゴンもアクアも君に感謝している」

シオンは優雅な所作で座り、
カシアスにも座るよう促した。

「君に聞きたい事があるのだが」
そう言って、シオンは懐(ふところ)から形の崩れた宝珠を取り出した。
カシアスの宝珠だ。

カシアスは、ぐっとつばを飲み込んだ。
「これが、キアラの翼に埋め込んであったのだが」
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