優等生の腹黒@学園ラブ物語 キアラとカシアス 魔法の恋の行方・シリーズ9
「おどかすのは、そこで止めておきなさい」
シオンが、止めに入った。

「この宝珠を君に返そう。
私たちは、別に、君を糾弾するつもりはないのだ。
君は、あの時に、キアラを助けようとしてくれたからね」

カシアスはうつむいて、膝でこぶしを握り締めている。

「君は、これからどうするつもりなのかね」
シオンがケーキを切りながら、たずねた。

「医学校に進学します」
「へぇー、お医者様になるんだぁ」
少女は、ケーキをほおばりながら、大声で言った。

「でもさ、君はカシアスの跡継ぎでしょ。
ケーキ食べなよ。おいしいよ」

カシアスは、ケーキどころではない。
目の前に出されたケーキを凝視していたが、何とか立て直した。

「いいえ、弟がいるので、
跡継ぎは僕ではなく、弟にしたほうがいいと父には話しています」
ようやく、
カシアスは、優等生的な答弁ができたことに、ほっとした。
< 75 / 81 >

この作品をシェア

pagetop