まじないの召喚師 ー生まれ変わりの花嫁ー
「にしても、お前がスサノオノミコトの生まれ変わりとはな」
「本当かどうか知りませんけど」
「いやいや、普通の術師は肉体を霧状にしてまた戻るなんて芸当できないからな」
たしかにあれは、私も人間技じゃないとは思った。
「通りで、火炎の術との相性が悪いわけだ」
「海を司る神ですもんね」
お互いびしょ濡れの着物から私服に着替えて、顔を合わせる。
「で、焚き火はやめるか?」
「やめませんとも。今日のことをどれだけ楽しみにしていたか、知らないのですか?」
「いいや。じゃあ行くか、稽古場に」
「はい」
私の手にはお徳用ビッグマシュマロ。
火宮先輩の手には調理器具。
イカネさんの手には食材。
中型犬の背には五右衛門風呂。
宣言通りのキャンプの始まりである。
この日の焚き火は、いつもより目に見えて火力が上がった。