まじないの召喚師 ー生まれ変わりの花嫁ー
…………天井が高い。
身体が痛いし、力が入らない。
「お、目ぇ覚めたか?」
火宮桜陰が軽い調子で声をかけてくる。
何が起きたのだろうか。
何が何だかわからないうちに今、転がっている。
「術師は接近戦には向きませんので、仕方ないですよ。次頑張りましょう」
「そんな事言ってる場合じゃないだろ」
「いいえ、そもそも月海さんは一般人です。こちら側に巻き込んでいい人ではありません」
「まだそんな事言ってやがんのか。敵は待っちゃくれねぇんだよ」
イカネさんが私を庇おうとしてくれる。
友人として、イカネさんを手伝うと決めたのは私。
そのために、強くなるために火宮桜陰を頼ると決めたのも私。
私の都合に付き合わせて、今更やっぱり無理でした、なんて言えるものか。
痛む体に鞭打って、立ち上がって、剣を構える。
「………お? 目つきが変わったな。やる気が戻ったか」
「月海さん、無理はしないで……」
「ありがとう、イカネさん。でも大丈夫。………先輩、もう一本、お願いします!」
瞬間、床に転がされた。
「口ほどにもない。おら、とっとと立て」
「たて!」
「月海さん……」
…………やっぱりむりかもしれない。