まじないの召喚師 ー生まれ変わりの花嫁ー
4
夏休
「夏休みに入ったからといって、羽目を外しすぎないように。新学期に元気に皆が揃うのを楽しみにしているぞ」
「はーい」
担任の挨拶で、今学期を終え、夏休みに入る。
クラスメートが遊ぶ約束をしたり、別れを惜しんでいる中、ぼっちな私は大量に配られた夏休みの宿題をスクールバッグに詰め、ひとつは今広げてシャーペンを滑らせる。
別に、誰か誘ってくれないかなとか、思ってないんだからね。
5人ほどのグループが数回に分けて教室を出ていく。
人数が減れば、必然的に話しかけやすくなるものだ。
ふと外に目を向けると、女子に囲まれる火宮桜陰がいた。
長期休みに入り、会えなくなるイケメンへの約束を取り付けようと必死である。
錯覚じゃなければ、だんだん囲みがでかくなっている。
これでは今日の鍛錬は中止になりそうだ。
人気者は大変だぁ。
教室から人が減っていき、残ったのは、女子と私のふたりきり。
これ、話しかけるチャンスだよね。
でも、なんて話しかけようかな………。
悩んでいると、彼女は迎えにきた男子と腕を絡ませていなくなる。
そして私ひとりになった。
………知ってたもん。
無駄な期待は余計な裏切りを生むものよ。
別にいいじゃない。
友達なんていなくても生きていけるさ。
手元の宿題をキリのいいところまで片付けてから、教室を後にした。