まじないの召喚師 ー生まれ変わりの花嫁ー

夏休




「夏休みに入ったからといって、羽目を外しすぎないように。新学期に元気に皆が揃うのを楽しみにしているぞ」



「はーい」



担任の挨拶で、今学期を終え、夏休みに入る。

クラスメートが遊ぶ約束をしたり、別れを惜しんでいる中、ぼっちな私は大量に配られた夏休みの宿題をスクールバッグに詰め、ひとつは今広げてシャーペンを滑らせる。

別に、誰か誘ってくれないかなとか、思ってないんだからね。


5人ほどのグループが数回に分けて教室を出ていく。

人数が減れば、必然的に話しかけやすくなるものだ。


ふと外に目を向けると、女子に囲まれる火宮桜陰がいた。

長期休みに入り、会えなくなるイケメンへの約束を取り付けようと必死である。

錯覚じゃなければ、だんだん囲みがでかくなっている。

これでは今日の鍛錬は中止になりそうだ。


人気者は大変だぁ。


教室から人が減っていき、残ったのは、女子と私のふたりきり。

これ、話しかけるチャンスだよね。


でも、なんて話しかけようかな………。


悩んでいると、彼女は迎えにきた男子と腕を絡ませていなくなる。

そして私ひとりになった。


………知ってたもん。


無駄な期待は余計な裏切りを生むものよ。

別にいいじゃない。

友達なんていなくても生きていけるさ。

手元の宿題をキリのいいところまで片付けてから、教室を後にした。


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