2ねんせいの夏。
『人は失わないと気付かない事もあるけど、俺はそうでない人間でありたい…なんて、かっこいいこと語りたい!』

貴が言う。
なんだか今日の二人はおかしい…いや、いつも?

『海の事故だって、車の事故だってきっとなくならないんだろうな…
その時は気を付けなきゃとか思っても、結局人間は忘れてく生きものだよ。』

宏が言う。

『確かに…忘れたくないことだらけなのになぁ、自分の都合よく忘れてることもあるなぁ、きっと。』

貴が言う。

『悩んで迷ってる今の自分さえ、いつか忘れてくんだろうか…』

宏が言う。

『忘れちゃダメなんだろうなぁ、こんなダメダメな今の自分も。』

貴が言う。
そして続ける。

『思い出したくない思い出だけの人生は嫌だ。こんな自分も明日の自分の始まりかもしれないから。』

『うん…』

なんだか今日の二人は本当に変。何かが起こる予感…

『ただいま』

奈々と亜子、潤が帰ってきた。

『何?二人とも暇そうだね。』

亜子が言う。

『何言ってんだ!今暇そうだって言ったか?言ったな!それは錯覚だ、亜子ちゃん。』

兄、宏が言い返す。
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