2ねんせいの夏。
『もう諦めろ!二人は行く気満々だ。』

小さい声で宏は貴に起きることを促す。

『先行っててよ。後から行くからさ?』

そう言う貴に、

『だめだ!行く気ないだろ!』

宏は信用していない。

『本当に!行くって!頼むよ。ちょっと頭痛いだけだからすぐ後から追い掛ける、なっ!』

貴の“頭痛い”にすっかり騙された…というか、弱い、優しい宏は、

『絶対来いよ?』

と言い残して貴の部屋を出た。
貴はそれを見て舌を出し、再び布団に潜り込む。

『しょうがない、先行くか!』

元気いっぱいの小学生をこれ以上待たせるわけにはいかないと、宏は諦め出かけることにする。

『…なんだ、皆も行くのか?』

健、潤に続く、奈々、慎、亜子。

『だって、今年はまだ海見てないんだもん!』

奈々が言う。

『今日はたまたま、部活休みだから。』

慎が言う。

『お兄ちゃんだけじゃ心配だから。』

亜子が言う。

『なんだよ…僕いらないじゃん…』

結局貴を除くきょうだい皆で出かけることとなり、宏は何しに行くんだか…状態。
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