2ねんせいの夏。
どこに行ったらいいかなんてわからない。

電話の内容を最後までちゃんと覚えていない。

朝家を出るまで、父さんは元気だった…はず。

それすらはっきりわからない貴。

今一番はっきりしている事は、こんなことでもないと父親の存在の大きさを確認できない自分と、うろたえて目の前が見えなくなっている情けない自分がいることだけ。

ふらふら歩いた。

あてもなく歩いた。

遠くへ行ってもしょうがないが、家でじっとしていたくないから、とりあえず歩く。

家のすぐ近く、図書館が目についたので、落ち着くために中に入る。

席には付かず、一番奥の難しい本の棚が続く場所で地べたに座り込む。

マナーの悪い利用者のように、
疲れ切った旅人のように。

夏休みにしては少ない利用者の為、一段と静かな館内は、頭の中を整理するにはちょうどいい場所だった。


昨日貴と宏が訳もなく語り合った失わないと気付けないなんていう後悔の話。

後悔すらいつか忘れていくという人生の話。

今まさに貴に、当てはまろうとしている。



後悔の方程式―――――――。
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