2ねんせいの夏。
目覚めた貴は、自分のベットの上にいた。


その横にはギプスをした父親が座っていた。


『よぉ、心配かけたみたいだな、もぉ、父さんっ子!』

お茶目に言う父親に呆れた様子の息子。

『大丈夫なわけ?』

貴が聞く。

『あぁ、運も兼ね備えたラッキーマンだからな』

父親が答える。

『ラッキーマン…』

貴が呆れる。
だが、安心した貴が父親に切り出す。

『父さんにもしもの事があったらって考えたら、』

『勝手に殺すなよ。』

『聞けよ。』

『うむ。』

『父さんにもしもの事があったらって考えたら、俺の夢が見つかった。』

『そうか。』

『うん、俺の夢は、』

『夢は?』

『変かもしれないけど、父さんと働くこと。』

貴が恥ずかしそうに言う。

『父さんと?』

父親が聞き返す。

『うん、俺のまだ知らない父さんを知ること。』

貴は、真剣に答える。

『そうか…』

いつになく真剣な父親に貴は緊張していた。

『言っておくが父さんは…』

『…』

『父さんの…』

『…何?』

『父さんの奥は深いぞ!』

『はぁ?』

『22年やそこらで知った気になってはいかん!』
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