2ねんせいの夏。
『なんだそれ…』

呟く貴に熱く語りだす父。

『父さんを知ろうと?
いい心がけだ。
よしっ、貴、大学を出たらおまえを父さんの部下にしてやる!』

『はぁ…それはどうも。』

『もっと喜びなさい!』

『はぁ…やったぁ、ばんざい、お世話になります…』

棒読みの貴。
それでも満足した父は、

『うむ。精進したまえ!』

そう言って部屋を出る。

『…夢…間違えたかなぁ…』

ドアを見つめ一人呟く貴。

廊下の父は、なんだか嬉しそう。


一方、食堂では…

『貴の早とちりも困ったもんだよ。』

宏が言う。

『誰でも身内に何かあれば、パニックになるんじゃない?』

あかねさんが言う。

『そうよ、私だって仲が良くない母親だろうと、何かあったら心配だもの。』

なつ希さんが言う。

『そうだね。』

宏が言う。

『でも、何かあってからじゃ遅いのよね。私、今度の休みにうちに帰ることにする。しばらく帰ってなかったし。』

なつ希さんが言う。

『いや、明日からお休み取りなさい。早く帰ってあげるといいわ。』

貴達の母親が言った。
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