2ねんせいの夏。

夏空の下で

屋上では澤田親子が珍しく二人きり。

『眩しい!空が青いなぁ。
平日のこんな時間に太陽にあたってるなんていつぶりだ!?』

父が言う。

『年に一度の屋上が今年は二回目だよ。』

貴が言う。

『…暑っ!!』

父が言う。

『遅っ!
夏なんだからあたりまえだよ。
しかも屋上って、太陽に近づいちゃってるし!』

貴がつっこむ。

『そうだな。』

父が言う。

『こんなとこ来て何するわけ?』

貴が言う。

『何って…別に?
暇だから息子の話でも聞いてやろうかなぁって。』

父が言う。

『暇だから…そうですか。』

貴が呆れる。

『蝉鳴いてるなぁ…
蝉採りでも行くか!』

父が提案する。

『行かないよっ!いくつだよ俺。潤と行けよ…ってか、怪我人はじっとしてろよ。』

貴が呆れる。

『小さい時も蝉採りなんて、二人で行かなかったよな。』

父が言う。

『カブト虫ならまだしも、蝉なんて親子で採りに行かないだろ。』

貴が言う。

『そうなのか!?』

父が言う。

『…いや、あんまり知らないけど。』

貴が言う。
< 117 / 135 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop