2ねんせいの夏。
『ちょっ、ちょっと、二人とも喧嘩なんかやめて。』

太陽が仲裁に入る。

『やめとけよ、授業中だ!』

宏が言う。

いつのまにか声が大きくなり、喧嘩にまで発展した会話は教室に響く。

『おまえ達いい加減にしろよ?静かに席に着けって!』

山口先生が言う。

渋々おとなしく席に着く二人。
申し訳なさそうに先生に頭を下げる弟、慎。

互いに大変だねと言わんばかりにアイコンタクトを交わす先生と慎。

もっと早く止めなさいよと訴えかける視線を宏に送る妹、亜子。

言い訳したそうに、でも謝るジェスチャーをする宏。

おとなしくなった二人、
静かになった教室、
そのあとは何事もなくHRは終わった。

『さっきは…ごめん。』

貴が謝る。

『俺も言いすぎた。』

春が謝る。

『いい歳して授業中に喧嘩なんてやめてもらえます?』

慎が言う。

『ほんとに。』

亜子が言い、奈々が頷く。

『すみません、お恥ずかしいです。』

弟に反省の意を伝える貴が、クラスの皆にはおかしかった。

クラスの皆が年上のクラスメイトを受け入れているのには、少なからず慎や亜子、奈々の存在が大きい。

山口先生にとっても、三人の存在が救いだ。
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