2ねんせいの夏。
春が言った。
春も小さいときに父親を病気で失っている。

『新しい家族が出来て何が悪いんだよ。大切なものが出来て何が悪いんだよ。』

『春……。』

『大切なものなら、お前が守ればいいだろ。5歳児が家族守るのが無理でも、今のお前なら…これからのお前なら…』

『そうだよ。春が珍しく良いこと言った!』

『おいっ!』

『なくす事ばかり考えてるから、一人になろうとするんだ。それに、大切なものがないと、自分も守れないんだよ。』

『自分を守る…』

『大切なものから逃げて自分を守ってるつもりだろうけど、大切なもののために自分を守ることも出来る。』

『どういうこと?』

『お前の大切なものにとっても、お前が大切なものってこと。
―――だから…つまり…、
残念ながらお前は両親の大切なものになっちまってるってこと。お前が両親から離れれば、両親は大切なものを失うんだよ。』

『お前は両親から大切なものを奪うのか?』

『なんかややこしい話になってるけど…。』

『…誰だよ、
修を泣かしたのは。』
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