2ねんせいの夏。
野球が人生の、春の挫折。

『背後からバットで攻撃された。普通そこまでやらねぇよ?』

『犯罪だろ!訴えろ。弁護士ならうちの親父に頼んでやる!』

『いらねぇよ、面倒くさい。』

『面倒くさいって。やられっぱなしで逃げてきたのか!』

『逃げたくて逃げたんじゃねぇよ。…このバット、何に使うと思う?』

『またかよ、もうい……い、もしかしてお前……』

『馬鹿だろ?最低の奴がしたこと、仕返しに同じ最低なことで返そうとしてる俺。超最低かな…。』

『うん。』
『おいっ!』

『いいんだよ、修正解。』
『やめとけよ…』
『うん、やめた。』
『そうなの?』

『仕返しに行ったら、さっき修に熱く語った事に矛盾が生じる。』 『矛盾?』

『大切なもののために自分を守ることも出来る。自分を犠牲にして大切なものは守れないんだ。…今行ったら悪者は俺。何も知らない大切なものは悲しむ。』

『おばさんか…』

『おじさんも。』

『がっかりだろうなぁ、母さん父さん。』
『悪者にならなくてよかったと思ってるよ。

きっと。』
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