2ねんせいの夏。
“大人になると
  夢はみられなくなるの?”

奈々がやってきて言った。

『そんなことはない。おじさんは今も夢見て生きてるからね。』

『そうなの?子供に会社を継いでもらうとか?』

『そんなことは思ってないよ。』

『どうして?』

『この仕事は私のやりたかった事、“私の夢”だよ。自分のやりたい事が、子供がやりたい事とは限らないからね。』

『わからないけどね。』

亜子が言った。

『やりたい事は自分で見つけなきゃ。それが大きくても、小さくても。』

『叶わなくても?』

『叶わない事のほうが多いかもしれない。それでもいいんだよ。』

『いいの?』

『いいんだ。それは自分には大き過ぎた夢だっただけ。自分サイズの夢をまた探せばいいだけだから。』

『諦めなきゃならない夢なら最初からみないほうがいいよ。』

『そんなことはない。なんでもやってみなきゃ自分に出来るか出来ないかなんてわからない。やれるのに諦めてたら、もったいないだろ?』

『…うん。』

『道はひとつじゃない…。
だから地図もないんだよ。
地図は自分で作らなきゃ。
未来の地図は自分次第だよ。』



『さぶっ…』
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