2ねんせいの夏。
『ない…かなっ。』

それを聞いた貴が皆の気持ちを代弁した。

『こんな時間にこんな場所まで、数えるほどしか会った事のない奴に付いてくる奴に悩みがないはずがない。』

『どっから来るんだ?その自信は。』

自信満々に語る貴に宏が言った。

『太陽をいじめるなよ。』

『いじめてなんかないだろ!僕らは悩む友達を励まそうと…』

『友達…』

その響きを太陽はまだ実感したことがあまりない。

『聞いてもらおうかなぁ、友達だし。』

『よしっ、言ってみなさい。』

『誰だよお前。上からかよっ。』

太陽の悩み相談が始まった。

『僕、小さいときから病気がちで…』

『それは医者に相談してくれないと…』

『黙って聞けよ。』
『ごめん。』

『学校にあんまり行けなかった。
だから友達は病気の子達ばかりで自分と友達の二人分の心配をしなきゃならなかった。』

『うん…、それで?』

『中学生の時、こっそり学校に行こうとした時、宏君に会って声かけられて、…うれしかった。
僕の存在が認められたみたいでうれしかった。』

『さすが僕ってなんかいい奴?』

『はいはい。』

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