2ねんせいの夏。
『明日の検査でいい結果がでたら、
退院できるかもしれないよ、
きっと大丈夫だよ、って期待させといて
退院できた事なんてほとんどないんだから。

明日の約束、守れなかった友達は何人も見てきた。

明日を楽しみにしてた笑顔が、
今日になったらもうこの世界にはないこと、何度もあったよ。

僕は、今日出来ないこと、
明日にするのは諦める事と同じだと思って生きてきた。

出来ることは今、
出来るなら今、やりたいんだ。』

どんな言葉も、
太陽が経験してきたこと、
太陽の悩みの答えには軽すぎて、誰も口を開くことが出来なかった。

その時――――


『やればいいじゃん、やりたい事。太陽のやりたい事って何?今日やりたい事って何?』

急に聞かれて困った顔をした太陽。

『…今?』

『いじめるなって言ったのは宏だろ?』

困る太陽を助けるように貴が口を開いた。

『今やりたい事が出てこないのは、諦めてるんじゃなくて夢があるって事と同じだと思う。』

宏が言う。

『…何言ってんだ?』

『夢は
今やりたい事とは違うだろ?』

『まぁ、将来って感じだけど。』
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