2ねんせいの夏。
『太陽には“明日”っていう夢があるんだ。明日は来るよ。望む者にだけ、希望はある。』

貴には宏が大人に見えた。
格好付けてるとも言えるがそれでも、自分よりは大人だと思った。
いつもヘラヘラしてるくせに…。

『それに、両親のこと。心配するのは当たり前だよ。親はそういうもの。』

そう言った修をみて、貴と春が微笑んだ。恥ずかしそうに、でも、続けて修は言った。

『太陽が何かを諦めたとき、
諦めなければならなかったとき、
悲しい想いをしたのは自分だけじゃないんだよ。』

春が続けた。

『学校に行けない時、
退院が延びた時、
約束が果たせなかった時、
病気がわかった時、
悲しかったのは自分だけだと思うか?』

宏も言った。

『どこの親もそうだよ、たぶん。忙しくてそばにいないうちの親たちだって。なぁ、貴。』

『…………。』

『太陽、どうせまた、親に黙って出てきたんだろ?』

宏が言った。

『帰るか?』

その一言に、

『貴君の悩み、聞いてから帰る。』

思い出したかのように春と修が貴を見た。

『わすれてた!!』
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