2ねんせいの夏。

始まり

夢に破れた男。


春との出会いは中学のとき。

野球部のレギュラーだった春は野球選手が夢だった。
学校中、街中、誰もが期待した。

スカウトなんかが来て、高校にも野球をしに行く感じだった。

たった3ヵ月で
何もなくなって帰ってくるなんて、誰も予想しなかった。

母一人子一人。

父親は春が小さいときに亡くなった。あまり有名ではなかったが、野球選手だった。
春にも野球をやらせたくて、病気で入院してても庭に出て、小さな春にボールを握らせた。

春は父親の希望通り、
小学校で野球を始めた。

その時
父親はもういなかったが。

母親は家計が苦しくても春に野球はやらせたかった。

“野球をしてれば、
お父さんのこと忘れないでしょ”

チーム自体はそんなに強くなかったが、春は街の小学校でも中学校でも有名な選手になった。

“うちに是非来ませんか?”

野球の有名高校からの誘いに、
母親は高い学費を払う決意をした。
母親は春のためにはお金を惜しまない人だった。


“きっと親孝行するから!!”

春は母親を残して


この街を出た。
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