2ねんせいの夏。
そして、俺たちは別れた。

家に着いたら
“今日”はすでに、明るかった。

家の前で、朝早く家を出る父さんとすれ違ったが、父さんは俺と宏を見るなり、宏に向かって

“探し物見つかったようだね”

と言った。宏は

“まだ見つからないのもあるみたいですけど。”

と、返して

“ご苦労さん。”

という言葉を受け取った。

わからないのは僕、いや、俺だけで、俺は父さんに高校の話をする為、遅い帰りを待つ覚悟を決めた。


そんな日に限って帰りの早い父さんは、帰ってくるなりすぐに、俺の部屋に宏を引きつれてやってきた。

『宝探しはどうだった。』

父さんが言った。
宝なんか探しに行った覚えはない。

『あっ…と…まだ地図も見つかってないかなぁ。』

そう言うしかなかった。

『そうか…』

父さんは続けた。

『どれくらいかかりそうだ?』

『…わからないけど、
とりあえず、5年。それで無理なら諦める。』

『諦めるのか…』

『諦めなくてすむようには努力します。』

『今途中の事、今やらなくて後悔するんじゃないか?』

『高校は…』
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