2ねんせいの夏。
努力では、どうにもならないことがあることを知った…

1年生の春は監督のお気に入りだった。
全員が野球をしにこの高校に入ったという野球部員は、自分がレギュラーになることばかりでいっぱいだった。
チームプレーのスポーツに欠けた仲間意識。
犠牲者の一人に選ばれた監督のお気に入り。

春は3ヵ月耐えて、部を去らざるをえなくなった。

利き腕の故障。
犯人はわかっている。
選手生命を絶たれた怪我。

監督は怪我の原因も、犯人も、
知った上で、何もしなかった。

それが学校の対応。

お気に入りだった選手が
ただの生徒になったときの、
監督の一言。


“公になれば野球部全員の選手生命を絶ちかねない。きみが去ることで皆を救うことになるんだよ。”


“救うつもりはなかった。
高い学費を払ってもらってまで、行く価値のある学校じゃなかった。

俺が去ったところで
次の犠牲者が生まれるだけだろう。

守られた方は、
何にもなかったかのように夢だの親孝行だの語って爽やかぶって、
そのうちヒーローにでもなるのだろうか…

俺は、母を悲しませないために黙ってこの高校を去ることを決めた。”


俺達の再会はその年の
夏休み。
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