2ねんせいの夏。
家に戻ったら、
図書館から帰った健が、
野球の練習に行くところだった。

最近始めたばかりで、
球拾いばっかりだという。
それでも楽しいんだという
健を見て、
野球を始めた頃の自分を
思い出した。

キャッチボールが楽しかった頃の
自分を思い出した。

健の野球の練習について行く事にした。

球拾いと少しのキャッチボールで
その日の練習を終えた健を、
キャッチボールに誘った。

うれしそうに距離をとった健に向かって投げた球は、

すごく遅くて、
すごく正確な球だった。

健はそれを、
うれしそうに投げかえす。

少しそれた球も
俺にはどうって事なくて、

もう一回と、
急かす健の目を見ていると、

小さい頃の俺も、
同じ楽しむことだけ考えた、
純粋な目だったのかなぁ。

なんて、考えたりした。

俺の人生には何かしらの形で、
野球が関わっている。

それだけで、
俺の人生は明るい。

俺は、今、
野球を始めた健を見ているだけで楽しい。

それから、

健が野球の練習に
誘ってくれるようになった事が、


うれしい。
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