2ねんせいの夏。
『一緒に過ごせたはずの時間を、ブロマイド制作に費やす親なんて、
聞いたことねぇよ。』

『いやっ、普通いないからっ。』

『ただ…俺がひねくれてた、とも言うが…。』

『ひねくれてた?』

『宏もその年の誕生日には、
プレゼントカードに

“お父さん。”

って、書いたんだよ。』

『へぇっ、そうなんだ?』

『宏と俺の決定的な違いは、
宏が素直だったっていう事。

【お父さん。】が俺、

宏は【お父さんと、遊園地。】

ストレートな言い方は、一番伝わる、
宏は家族で遊園地に行ったんだ。』

『貴はブロマイド、
宏は家族で遊園地…か。』

『素直じゃないとさぁ、
損をするんだと。
解るだろうっていうのは、
実は解ってほしいっていう

“願望”で、

それは伝わらない事の方が
多いのかもしれない。

ちゃんと言わなきゃ伝わらない事だらけだよ…。』

『じゃあ健は…ダメか…?』

『素直に、ストレートに
書くように言ってやって。』

『俺がぁ?』

『お前がぁ。』
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