2ねんせいの夏。
『こんな所に住んでるんだぁ。
広いお家だねぇ、部屋も広い!』

『父さんと母さんには
言ってきたのか?』

話を切り替える修を見て、
またすねたような顔をする。

『言ってないよ。
友達んち行くって言ってきた。』

『なんで!?』

『一人で来たかったから。』

『なんで!!?』

『いいでしょ?ダメなの?』

『危ないだろ!』

『全然。』

うまくかわされているようで、
苛立つ修に遼が言った。

『お父さんもお母さんも、
“修はいつ帰ってくるのかなぁ”
“電話してみようかなぁ”
いつもいつもそればっかりだよ。早く帰ってきてよ、二人のために。』

かなしそうに言う遼を見て、
修は思った。

本当の両親を独り占めできない
“さみしさ”と、
本当の兄弟じゃない僕への
“嫉妬”?

修は部屋をとびだし、
家をとびだし、
実家に向かおうとした。

慌てて追い掛ける遼が、

『どうしたの?!どこ行くの?!』

『家に帰るんだ。そして、
父さんと母さんに言ってやるよ。
僕のことは考えなくていいから、遼のこと、考えてやれって。
僕がいなければ遼はかなしまずに済んだのに…』
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