2ねんせいの夏。
『…違うよ!』

『違わないよ!
僕なんか放っとけばいいのに。
僕は二人に愛想尽かされる様な
態度とってきた。
呆れて
見離されてもしょうがないのに…
帰らないのだって家と家族と
距離をおいて…』

『お兄ちゃん…?』

頬を伝った涙は
かなしい涙?
悔しい涙?


うれしい涙?

『違うよ、
いつもいつも、
いつ帰ってくるのか、
電話してみようって言ってるのは、お父さんとお母さんじゃなくて

僕なんだ。』

『?!』

『僕がかなしいのは、
お兄ちゃんが帰ってきてくれないからだよ。』

遼の頬にも涙が伝う。

『お父さんとお母さんは、
お兄ちゃんは忙しいから電話は
今度って言って、一度もかけて
くれないんだ。
そう言いながら僕がいなくなると、電話の前で二人してかけようかやめようか、何時間も悩んでるくせに。』

『何時間も…』

『結局、
いつもかけないで待つことになるんだけどね。』

『遼、僕に会いにきたのか。』

『最初から言ってるでしょ。』
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