2ねんせいの夏。
次の日、朝からキャッチボールをする健と真砂希、それを見る春がいた。

その横を亜子と潤が通る。

『どこ行くの?』

真砂希が聞いた。
答えない亜子に

『図書館。』

代わりに答える潤。

『俺らも行く?』

真砂希が言った。

『来なくていい!』

行きたそうにする健に、

『健、早くおいで。』

気をつかって健だけは呼ぶ亜子。

『嫌われてんなぁ。』

そう言う春に、真砂希が苦笑いする。

健を待つ二人に
親達が家の前に趣味程度で建てたマンションの住人が、声をかけた。
その住人は、岡島光さんといって、夫婦でマンションの1階に住んでいる。

旦那さんの剛さんは警察官で、
街の交番勤務。

もうすぐ子供が産まれる。しかも双子。

『新しい人が来たの?お友達?』

『あれはいとこなんです。すぐに帰りますから気にしないで下さい。』

『もしかして、真砂希君?
久しぶりに見たわ。』

『迷惑な奴で…』

『それより聞いてくれる?
赤ちゃんの名前なんだけどね。』

『もうすぐですもんね。』

『そうなの。でね、女の子が
産まれたら“桜”って付けるのが私の夢なの。』

『夏なのに?』

潤が言った。
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