2ねんせいの夏。
『うちの人も同じ事言って反対するの。』

『はぁ。
他に候補とか、ないんですか?』

『桜がいいの。』

困る二人に
真砂希と春が寄ってきた。

『無事に産まれることが何よりです。名前は大事だけど、赤ちゃんの顔見たら、もっといい名前が浮かぶかもしれませんし。』

真砂希の言葉に皆で感心した。

『そうね、ありがと。
大人になったわねぇ、真砂希君。』

光さんは納得して家の中に入っていった。

『俺、いい事言うわ〜』

自画自賛する真砂希に、

『家出するような人の言葉とは思えなかったわ。』

嫌味っぽくほめた亜子と潤、健は、図書館に出掛けて行った。

『で、いつになったら話すわけ?家出の原因。』

春が聞いた。
とりあえず家の中に入ると
貴がいて、宏がいて、太陽がいて。

渋々真砂希が口を開いた。

『二兎追うものは一兎をも得ず?あれって本当かなぁ。』

『どうしたんだよ。』

皆で顔を見合わせて
貴が言った。

『一度に二つの物を狙うと、
どっちも得られない、獲り逃がすってやつだろ。
だからどっちかにしろってやつ?』

『努力次第なんじゃない?』

『俺は二つ共手に入れたい派!』
< 59 / 135 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop