2ねんせいの夏。
『僕は一つに集中したい派かな。』

『真砂希は?』

『俺は二つ共…かな。
だから喧嘩したんだ。』

『どういうこと?』

『俺の夢は、じいちゃんと父さんと同じ医者になることで…』

『太陽の父さんの知り合いは、
僕らのじいちゃんであり、
真砂希のじいちゃんでもある。』

宏が補足する。

『野球で甲子園に行くのも夢なんだ。』

『二兎…
医者と甲子園か。』

『甲子園、医者、順番に行けばいいじゃんか。』

『父さん曰く、どっちも“今”が大事なことなんだって。だからどっちかにしなさいって。』

『選択の権利はあるんだ。』

『うん、医者になれって言われてるわけでもないから。』

貴はその一言に反応した。

“会社継げって言われてるわけ
でもない、でも、
他に夢がないのが俺。”

『順位を付けるとしたら
どっちが上?』

『だからどっちも…』

『で、悩んでるんだったな。』

『悩んでるというか、
俺は両方やる気なの。
でも親は無理すんなって、どっちもダメだったとき、
何もしてやれないのは辛いって。』

『親心?』

『信用も期待も
されてないみたいじゃん。
それが悔しくてさ。』
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