2ねんせいの夏。
『で、近場に家出?』

『欲張って両方ダメだった時、

どちらかにしたのにダメだった時、

俺の中の後悔は、
諦めた方が大きく占めるんだ。

だからどっちも頑張ってダメなら
俺は後悔なんてしない。

最初から諦めるなんてしたくないんだ。』

『じゃあ、自分の口で親に言えよ。心配してくれてるだけなんだ。
喧嘩してどうすんだよ。』

『信用してないわけじゃない、
頑張ってる事一番近くで見てるんだから。
期待してないわけでもない、期待されすぎて潰れる子にしたくないだけ。』

『あっ、おばさん…?』

真砂希の母がやってきた。

『あんたの行きそうな所なんて知れてるのよ。』

『母さん…』

『家出してまでやりたい事ならやればいいわ。宏君の言うとおり、私は存分に心配してやるんだから。それが親の仕事なんだから。』

『帰る…』

『そう?じゃ、お騒がせしました。』


『あっさり…?』

『どっちもダメだったとき、何もしてやれないわけじゃないかもしれないと思ってね。』

真砂希の母親が言った。

『次の道を応援するの。
一度の失敗で人生は終わりじゃないもの。
次があるから両方なんて言えるのかもね?』
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