2ねんせいの夏。
ひとつだけ
その日、電話が鳴った。
相手はかなり怒りを抑えたが、
それでも抑えきれないかのような口調で、電話にでたあかねさんに、
「森 太陽をお願いします。」
と言った。
電話にでた太陽は、謝りながらも少し反抗的で、今まで見たことのないような一面を覗かせた。
『誰だったの?』
奈々が恐る恐る尋ねた。
『母親。最近帰ってないから怒っててさ。しかも“夏休みなのにどうして帰ってこないのよ”だってさ。』
笑顔で答えた太陽は、
いつもの太陽だった。
『帰らないの?』
『うん…、まえの修じゃないけど、あんまり帰る気がしないんだ。』
『でも、待ってるんでしょ?』
慎が聞いた。
『心配しすぎなんだ、うちの親は。』
『真砂希のおばさん、親が心配するのは当たり前だって、それが仕事で役目みたいな事、言ってただろ?』
春が言った。
『そうだね。』
そう言って、
それだけ言って、
太陽は部屋に戻っていった。
『仲悪いのかなぁ、太陽君ち。』
奈々が心配そうに言った。
『小さい頃から入退院繰り返してた子供が、家からも親からも離れて暮らしてれば、心配するのは当たり前だと思うけど…』
相手はかなり怒りを抑えたが、
それでも抑えきれないかのような口調で、電話にでたあかねさんに、
「森 太陽をお願いします。」
と言った。
電話にでた太陽は、謝りながらも少し反抗的で、今まで見たことのないような一面を覗かせた。
『誰だったの?』
奈々が恐る恐る尋ねた。
『母親。最近帰ってないから怒っててさ。しかも“夏休みなのにどうして帰ってこないのよ”だってさ。』
笑顔で答えた太陽は、
いつもの太陽だった。
『帰らないの?』
『うん…、まえの修じゃないけど、あんまり帰る気がしないんだ。』
『でも、待ってるんでしょ?』
慎が聞いた。
『心配しすぎなんだ、うちの親は。』
『真砂希のおばさん、親が心配するのは当たり前だって、それが仕事で役目みたいな事、言ってただろ?』
春が言った。
『そうだね。』
そう言って、
それだけ言って、
太陽は部屋に戻っていった。
『仲悪いのかなぁ、太陽君ち。』
奈々が心配そうに言った。
『小さい頃から入退院繰り返してた子供が、家からも親からも離れて暮らしてれば、心配するのは当たり前だと思うけど…』