2ねんせいの夏。

始まり3

家族から逃げ出した男。


修と出会ったのは中学の時で、
両親は若くてやさしくて、
羨ましがる同級生は少なくなかった。

実際は実の父親の弟夫婦に育てられていて、修はその両親と距離を置こうとしている。

兄夫婦の子を若くして引き取った二人は修が可愛くてしょうがなかった。

二人はなつかない修に、呆れる事もなく機嫌を取ろうとする。

諦めない二人に折れない修。

本当の両親との別れは5歳の時。

夜中起きない修を抱えて家をとび出したのは母親。

近所のおじさんに修を預けて家のなかに戻って行った母親は、そのまま帰ってくる事はなかった。

目を覚ました修の前には、
炎と煙につつまれた、
さっきまで暮らしていたはずの家。

見当たらないのは両親と3歳上の兄。

ひとりぼっちを体験した初めての夜...

すぐに修は結婚したばかりの父の弟夫婦に引き取られた。

口を利かない修を今はまだしょうがないと、二人は自分達に言い聞かせた。

やっとしゃべるようになった修は、泣かない欲しがらないよそよそしさをみせた。

修にはもう二人しかいない。嫌われたら…



そういう理由ではなかった。
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