2ねんせいの夏。
交番前―――――。

『剛さん!』

『どうしたのっ!宏君。そんなに急いで。』

『いつ終わる?
仕事、いつ終わる?』

『え?もう少しかかるけど、
どうしたんだい?』

『終わってから話す。
光さんに言われてるから。』

『光に何かあったんだね。』

『あっ……えっと…』

『分かった、
終わったらすぐに聞くよ。』


“これじゃ、意味ないじゃんかぁ。”


『うん。』

数時間後―――。


『終わったよ。で?』

『産まれる…ます。
うちのじいちゃんの病院!行きましょう。』

『ご苦労さま。
それ言うために何時間も。
行こうかっ!』

呼んでいたタクシーに乗り込む二人。

『大人って大変だね。』

『え?どうしたんだよっ。』

『家族の一大事にすぐにかけ付けられないのが大人だと思ってさ。』

『うん…そうかもね。』

『昔さ、貴が大怪我して病院に運ばれたことがあったんだ。
おじさんもおばさんもすぐには来なかった。
来たのは次の日の夕方。
もし大変なことになってたら、二人は生きた息子に二度と会えなかったかもしれないんだよ。』

『うん…。』

『大人は冷たいって思った。
その時は。』
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