2ねんせいの夏。
『家族のために働いてて、
その家族をなくしたら
意味ないじゃんって思って。』

『うん…。』

『でも、おじさんもおばさんも
嫌いじゃない。剛さんだって。
大人だけど、普段の姿を見てて
家族を大切に想ってること、
すごく分かるもん。
っらいのは、来てもらえなかったほうも行ってあげられなかったほうも同じなんじゃないかって。』

『そうだね。』

『大人になったら
一緒にいたくてもいてあげられない事ばかりじゃあないかと思ってさ。』

『だから宏君は高校生やってんだね?』

『え?』

『貴君と、家族のため?かな?』

『う…ん、どうだろ。自分のためかな。』

『自分…か。』

『あっ、着いたよ。』


『剛さん!こっちこっち!』

病院にかけつけた剛さんを見つけるなり、奈々が叫ぶ。

『光は?子供は?』

『まだ…』

『まだ?』

『パパを待ってたんじゃないかな、なぁんて。』

心配そうにする剛さんに
太陽の母が声をかけた。

『大丈夫よ。お母さんも子供達も。こんなにたくさん心配する人がいるんだもの。悲しませるようなことしないわ。』
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