2ねんせいの夏。
剛さんがかけつけてから数分後、うれしい泣き声は皆の耳に届いた。

男の子と女の子の二人分。

『名前何にするのかなぁ。』

春が呟いた。

『あぁ、桜にしたいって
言ってたっけ?』

貴が言う。

『剛さんならいい考えがありそうだし。光さんも納得する結果に落ち着くでしょ。』

亜子が言った。

『じゃ、今日のところは皆、
帰ろうか。』

貴が言う。

『皆、今日はありがとね。』

帰ろうとする皆に剛さんが
声をかけた。

『名前、楽しみにしてるよ。』

宏が言って、皆家に帰り始める。最後尾では、
太陽と母親の親子の会話。

『明日にでも帰るからさ。』

『うん。』

『心配しないでよ、あんまり。』

『それは無理。
もう癖…習慣?だから。』

『たったひとりの僕のお母さんとお父さん、悲しませたりしないよ、絶対。』

『絶対?』

『僕は太陽だから。
僕がいないと二人の世界は暗くなるから。僕が照らさなきゃ。』

『生意気!
どこから借りてきたのよ、
その台詞。』

『いつか僕も誰かの太陽を、守る医者になりたいんだ。』

『生意気!』
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