2ねんせいの夏。

ひとりぼっちの大人

太陽は次の日、
実家に帰って行った。

二人がいないだけで、
この家は何だか静か。

『俺も帰ろうかなぁ…』

春が呟いた。

『帰ってもさ、
兄弟がいるわけでもなく、母親は働いてるからのんびりくつろぐわけでもなく…なんだけどさ。』

『そうかぁ。』

貴が答える。

『まぁ、たまには
静かなのもいっかなぁ…』

『悪かったな、
うちはうるさくて!』

『嫌味で言ってんじゃねぇよ。
一人っ子なの、俺は。
羨ましんだよ?
おまえらのこと。』

『はいはい、さっさと帰って
親孝行でもしてください。
はい、いってらっしゃい、
さようなら。』

『なんだよ…』

春を残して
貴は自分の部屋に帰って行く。

『機嫌わりぃなぁ…』

『寂しんだよ、あいつは。
ガキだな。』

宏が言った。

『寂しい?男同士、毎日一緒で
逆にうっとうしくないか?』

『なぁ!暑苦しいよ。特に春。』

『俺?!もしかしておまえも機嫌わりぃのかよ。…寂しいのか?』

『そういうとこ、暑苦しい。』

『わかったよ、
さっさと帰りますよ!ったく、
なんだよ。』

ふてくされる春の背中を
笑って見送る宏。
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