2ねんせいの夏。
『こんなのが、大人になったら
当たり前なんだよ、貴。』

宏の、なんだか悟ったような一言。

『しばらく、
うちは静かになりそうだなぁ。』

宏が呟く。

『三人がいないからじゃなくて、騒ぐ相手がいなくなった二人がおとなしくなるからね。』

亜子が来てつっこんだ。

『だな。』

慎も来て、頷く。

『じゃあ、帰るわ。』

春が荷物をまとめて現われた。

『どうせ暇だし、遊びにもくるよ。健と野球の練習する約束もあるしさ。』

『おう。』

宏が返事する。

『じゃあなぁ!』

春は玄関から貴の部屋に向かって大声で言った。

『うるせぇ!』

返事が返ってきた。それを聞いた春は笑いながら帰って行った。

『さっ、宿題やろっ。』

宏は部屋に帰って行く。
亜子も慎も、部屋に帰って行く。

『なんか寂しいですね。』

お手伝いさんの
なつ希さんが言った。

『この家も夏休みって感じね。
なつ希ちゃんは、お休みもらって帰らないの?』

あかねさんが言った。

『帰っても、喧嘩する相手しかいませんから。』
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