2ねんせいの夏。
『お母さん?』

『はい、まぁ…』

なつ希さんはその話を避けたいと言わんばかりに、その場を離れた。

『え!!帰っちゃったの?』

野球の練習から帰った健が、春の帰宅にがっかりしていた。

『練習の約束は忘れてないみたいだったわよ?遊びに来るって言ってたから。』

あかねさんが健をなだめる。

『そうなの?じゃあ…いいや。』

納得して部屋に戻っていく。


次の日―――――――――。

『貴兄が元気ないんだけど。』

潤が気にしていた。

『そんなに寂しいのかなぁ、永遠の別れじゃあるまいし。』

奈々が言った。

『こんな機会でもないと真剣に考え事する暇無いでしょ、たまにはいいんじゃない?』

亜子が言った。

『あ、そういうことか。
あれでももう、二十歳過ぎた大人ですからね。』

慎が言う。

『子供なんだよ、まだまだ。
例えば、大人になったらいっぱい出会いがある反面、
別れがあるだろ?
友達や、家族ですらそう会えなくなって、疎遠になって、
にぎやかにやってる今が懐かしくなったりして、さらに孤独を感じたりして。
大人ってどういうことなんだろうって、真剣に考えてみたりするんだよ。』
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