2ねんせいの夏。
『そうなの?』

『たまにはな、慎が言ったみたいにこんな歳だしな。』

宏が言った。

『ふん。』

『大人はさ、結局、
一人なんじゃないかって思う。
自分のことで精一杯で、人のこと、どうこう言ってる場合じゃなくて。
自分で、どうにかしないといけない事だらけで…』

『寂しい。』

『え?』

『考え方が寂しい。
それって、大人の大変なトコの寄せ集めで、宏君の寂しい大人像だよ。』

奈々が言った。

『うん、なんかね。』

慎も言った。

『寂しい大人像か…。
皆はそうならない自信あるか?
自分はひとりぼっちの大人にならないって自信、あるのか。』

『……そんなのわからないよ。』

『自信がついたら大人なのかも。』

『そもそも大人ってなんだ?
二十歳をこえたら?
自分で稼げるようになったら?
それとも夢を見なくなったら?』

慎が聞いた。

『夢を…
“それじゃあ
貴はすでに大人じゃんか。”
それこそ寂しい大人像だな。』

宏が呟く。

『まえに、澤田パパが言ってたんだけど、』

奈々が言う。

『なんて?』

『大人には守らなければならないものがある。もしくは、守りたいものがある。
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