2ねんせいの夏。
『僕らの今いる世界っていうのは、家と学校とせいぜいこの街だ。

電車やバスに乗れば、もっと世界は広がって、それだけじゃ行けない世界はまだまだ広い。

健の好きな野球だって、
潤の好きなサッカーだって、

その世界は広い。

ただの野球好きが、
ただのサッカー好きが、

プロの世界を知りたくなったら、ずっと此処にはいられないだろ?

プロの野球選手が、
プロのサッカー選手が、

世界に興味を持ったら、

自分の知らない世界を知るため、

海だって渡るだろ?

大袈裟に言いすぎたけど、自分の世界が小さくなったら、人は、地図を広げようとするんだよ。

よしっ!決まった!』

『あんまり分かんないんだけど。』

潤が言う。

『二人は地図を広げないの?』

健が聞いた。

『広い世界に興味が無かったから、ずっと此処で狭い地図眺めてんの。』

貴が言った。

『宏君は留学もしてたし世界は広がってるでしょ?』

奈々が言った。

『宏君は優しいから…』

慎が言った。

『おいてけないんだね。』

亜子が言った。
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