2ねんせいの夏。
その日の夕方5時過ぎ、だんだん人が集まり始めた。
奈々は浴衣姿で玄関に立ち客を出迎える。

“似合ってるよ。”
“かわいい。”
“きれい。”
そんな言葉が聞きたいから。

一方、亜子は浴衣を着ない。
この家の女の子二人は、仲は良いが性格は真逆。女の子らしい女の子と、男らしい女の子。

『おっじゃまっしますっ。奈々ちゃん似合ってるっ!浴衣!夏だね。あっ亜子ちゃん…は着ないの?』

ハイテンションでやってきた真砂希は、亜子の私服姿にがっかりしていた。

少し遅れてやってきた真砂希の母親、亜子のおばさんは、

『私の浴衣姿、どう?』

自分の浴衣姿を見てほしい奈々よりもストレートな質問を投げ掛けた。

『似合ってます。素敵です!』

『そう?奈々ちゃんもかわいい!』

真砂希母と奈々のほめ合いが始まり、亜子と真砂希は呆れて立ち尽くした。

『こんばんは。』

続いてお客さんがやってきた。
太陽に、修、遼兄弟。

『いらっしゃい、上がって!靴持って屋上にどうぞ。』

亜子が対応する。

『俺も行こっと。』

真砂希が母をおいて三人と屋上に上がって行った。
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