2ねんせいの夏。
屋上では花火を前に、既に宴会状態だった。

健と潤、遼の小学生組は、海の方に向かって花火コールをしている。

お祭りの屋台で売ってそうな食物がそろうなか、皆それぞれに食べたいものを取り、それぞれが盛り上がっていた。

五人の男達に良太を加えたグループ、小学生組、奈々、慎、亜子、真砂希、心のグループに、お手伝いさん達、真砂希母、心父の大人グループ。

『海の方は、今頃人でいっぱいなんだろうなぁ…』

春が言う。

『もしかして剛さん、働いてるかもな。』

宏が言う。

『間に合うかなぁ…』

奈々が言う。

『どうだろ…』

慎が言う。

健が玄関の方を見下ろしていた。
潤も下を覗き込もうとした時、

空に花火が打ち上がった。

視線は空に咲いた花に注がれた。

『きれーいっ。』
『おーっ!』
『すごーいっ。』
『でっかーいっ!』
『間に合わずか…』

それぞれの感想がこぼれた。
いつもの事といえばいつもの事。
運動会だって参観日だって、誰か一人は間に合わなかったりする。今日は全員遅刻。
わかっているけれど、
わかっているのだけれど、
いつもいつも、
今日こそはと、


期待してしまうんだ。
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