2ねんせいの夏。
その日の屋上は遅くまで盛り上がった。

帰りはコックの浩介さんが皆を車で送り届けた。

後片付けを皆でした。

それさえなんだか楽しかった。

皆でやればあっという間で、子供達は屋上の扉を出て、最後に貴が、名残惜しそうに鍵をかけた。



次の日、
珍しく土日以外の休みを取った親達は皆で出かける事を提案した。

遅いお盆休み?


どこに行くか相談していたら、奈々達の母親が“向日葵公園”がいいと言ったので、そこに皆で行くことになった。

“向日葵公園”とは、見渡す限り一面、向日葵の花で埋め尽くされた別名“太陽畑”と呼ばれる公園。
…いや、太陽畑と呼ぶのはこの家族だけ。
皆お気に入りの場所。

ただ向日葵を眺めて、
走り回って、
疲れたら休憩して、
遊園地じゃないけど、
水族館じゃないけど、
楽しい場所。


楽しい時間が続くと、

次にやってくる楽しい時間に

期待して、気を取られて、

当たり前のことが、
当たり前の存在が、

なくなるかもしれないとか、


想像もしないんだ。
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