Contact〜再会した初恋の君に〜

「忘れてた大事なことはこれだよ」

身体を離して、彼女の唇にそっと俺の唇を重ねる。

唇を離してから、彼女の驚いて丸くなっている大きな瞳を見る。

「紗希…キスの時は目を閉じて…」

素直な彼女が目を閉じたのを確認すると、彼女の頬に手を当て、もう一度触れるだけのキスをする。

「今日、紗希が来る日だったのに会えなかっただろう。お前、顔も見ずに帰るなんて…。寂しかったんだぞ。だから…それが大事なこと」

そんなことだと思っていなかったのだろう。

「えっ? た、瀧本くんって…。寂しがりやさんなの?」

「お前は俺に会えなくて寂しくなかったのかよ」

少しだけ不貞腐れた感じで聞いてみる。

「あ…寂しかったけど、仕方ないかな…と思って。だって、瀧本くんは忙しいでしょう。私とは勤務時間も違うし…」 

本当に…。すごい温度差なんだよな…。

少しがっかりしたが、まだ正式に付き合うと返事を貰えていないと思い、気を取り直す。

「金曜日はありがとうな」

少し声のトーンを落とし耳元で優しく囁く。

「…う、うん…」

恥ずかしそうにして俯く紗希が可愛くて、耳にもキスをする。

「ちょ、ちょっと瀧本くん」

慌てる紗希がまた可愛くて、抱きしめる。
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