Contact〜再会した初恋の君に〜
今日、紗希は出向先での勤務日。
昨夜当直だった俺は『明日休みだから紗希の仕事が終わる頃に迎えに行くよ』とメッセージを入れておいた。
たぶん紗希は眠っているのだろう。朝になって出向先と終業時刻が書かれたメッセージが届いていた。
文房具を扱うメーカーである出向先の企業では社員研修としてメンタルヘルスを計画していると聞いていた。
まだ見習い的な立場である紗希は、先輩が講師として行う研修のアシスタントとして、研修担当者との打合せや資料作りをしているのだとか。
「そろそろ時間かな…」時計を見ながら呟く。
真面目な紗希のことだきっとそろそろ帰る支度をして待ち合わせの場所に向かわないと、そんなことを考えてくれてるだろう。
そんなタイミングを見計らって電話をかけた。
コール音を聞き「まだ少し早かったか…」と思っていると、「もしもし」と紗希のかわいい声が聞こえてホッとした。
『紗希、終わった?』
「うん。ちょうど片付け終わってそろそろ出るところ」
『ちょっと早く待ち合わせ場所に着いちゃったから、会社のビルの前まで来ちゃったんだ』
「えっ、じゃあ…すぐに片付けて出るようにするからもう少し待ってて。あ、暑いからエントランスの中で待っててね」
早口で一気に伝えてくる紗希に『わかった。気をつけて来いよ』と伝える。
「うん」と応えた紗希の周りはザワザワとしていてまだ職場を出ていない様子がうかがえた。