Contact〜再会した初恋の君に〜
到着したエレベーターから降りてエントランスにいる俺の元へ笑顔でかけてくる紗希が最高にかわいい。
夕方とはいえ真夏日の今日はまだ暑い。そんなに急がなくても大丈夫だと思いつつも小走りで向かって来てくれるなんて嬉しすぎる。
「お待たせ」
「よう、お疲れ様」
「昨日も会ったのに今日も会おうだなんてどうしたの?」
「会いたかったからだろ。お前は会いたくなかったのかよ」
俺のところまで急いできてくれた子の発言とは思えないような冷たい言動で少しへこんだ。
俺の元へのかけてきてくれたのは単に待たせていたことへの申し訳無さだけだったのか。
本当に、この温度差はいつ縮まるのか…。
心の中でがっかりしていると、紗希が降りてきたエレベーターとは違う隣のエレベーターから降りてきた男がこちらを見ている。
俺たちを見てる? いや、紗希を見てる…そう直感した。
はあ…。と大きくため息を一つ吐くと、紗希がとりなしてくる。
「わ、私だって会いたかった…よ」
「まったく…。初めからそう素直に言ってくれると嬉しいんだけどな」
彼女の手を取り、指を絡めて握る。
「た、瀧本くん。手…」
「いいだろ。俺たち付き合ってるんだから」
俺のため息は紗希のことを意識して見ていたあの男のことだったのだけど、紗希に自覚はないようだった。
ならば俺たちの仲の良さを見せつけて諦めさせようと考える。